SDMの概念-3. SDMの効果とDecision Aidsの活用

SDMの概念

3. SDMの効果とDecision Aidsの活用

SDMを推進する方法として、意思決定支援ツールDecision Aids(DA)が1990年代に欧米で開発された。DAには印刷物、ビデオ映像、コンピューターやウェブ等の電子媒体が利用されている。これまでの研究では、DAを使用すると、使用しない場合と比較して検診に対する知識が増え、参加決断の葛藤が解消され、SDMが良好にできたと感じる人が増加することが検証された。またDAを用いたSDMにより、前立腺がん検診と乳がん検診については受診が減少し、大腸がん検診については受診が増加することが確認された。ただし、どのフォーマットがより優れるかという確かな証拠はなく1)、DAに使用した情報の内容や提示方法についての優劣を評価した証拠もない。

DAを用いた治療や検診のランダム化比較試験により、効果を検証した結果、知識の増加や情報に基づき選択した方法が患者(受診者)の価値観とも一致することが確認された2)。また、情報が不足している状況で意思決定を行うことの葛藤や患者(受診者)が自らの価値観に戸惑うこと(優柔不断な反応)が減少し、さらには意思決定に参加しない患者(受診者)の割合も減少したことが報告されている。

文 献
  1. Légaré F, Adekpedjou R, Stacey D, Turcotte S, Kryworuchko J, Graham ID, Lyddiatt A, Politi MC, Thomson R, Elwyn, G. Donner-Banzhoff N. Interventions for increasing the use of shared decision making by healthcare professionals. Cochrane Database Syst Rev. 2018;7(7):CD006732.
  2. Stacey D, Légaré F, Lewis K, Barry MJ, Bennett CL, Eden KB, Holmes-Rovner M, Llewellyn-Thomas H, Lyddiatt A, Thomson R, Trevena L. Decision aids for people facing health treatment or screening decisions. Cochrane Database Syst Rev. 2017;4(4):CD001431.